タイ チェンライの山岳少数民族の村を訪問!アカ族・ヤオ族・カレン族と出会って感じたことは…?
先日のタイ旅行の際に、山岳少数民族の伝統的な暮らしについて知りたいと思い、アカ族・ヤオ族・首長カレン族の村を訪ねるツアーに参加してきました。
タイの少数民族の概要、ツアーの様子、そこで感じた少数民族の暮らしのあり方について考えたことを、お伝えします!
タイの山岳少数民族
タイには2010年時点で約95万人の山岳少数民族がいると言われています。のち約20万人が、チェンライというタイ北部の県に住んでいます。
少数民族は昔からタイにいたのではなく、100〜150年前から、中国南部やチベットから移住してきました。近年ミャンマーから移ってきた人もいます。
かつて、民族の人々は伝統的な焼畑農業を行って半遊牧民的生活を送っていました。また、換金作物であるオピウム(麻薬であるケシ)栽培を行っていました。しかし、現在はタイ政府によって焼き畑農業もオピウム栽培も禁止されています。そのため、観光業や商品作物栽培によって、生計を成り立たせています。
山岳少数民族の村を訪ねるツアー
今回、J.TRAVEL SERVICE という日本人が経営している会社でツアーを申し込みました。民族の訪問ツアー、ラオス・ミャンマー・タイの国境を巡るツアー、メコン川遊覧のツアーなどなど、タイ北部での様々なツアーを提供しています。少人数で催行してくれるので、ゆっくりじっくり観光したい人におすすめです。
アカ族
アカ族はチベットからミャンマーを経由してタイに来た民族で、タイに約7万人いるといわれています。
村でダンスと音楽を披露してもらいました。(ちょっと気だるそう?)
村には、鳥居のようなものがあります。良い精霊を村の中に入れ、悪い精霊を村の外に出す役割があるそうです。
こちらは、野生動物を捕まえる仕掛け。うっかり自分が入ってしまいそう。
この子は、美味しく頂かれるのかな…???
アカ族のおばさんが、機織り機の使い方を教えてくれました。
1時間ほどで、村全体を見て回ることができます。
ヤオ族
ヤオ族は中国南部から来た民族で、タイに約4万5000人いるといわれています。容貌は中国人に似ており、使用する言語も中国語に似ているそうです。
政府によりオピウム栽培が禁止されてからは、ヤオ族は綿花やトウモロコシの栽培、家畜生産を行っています。
村の家屋の様子。
ヤオ族のおばちゃん。伝統衣装を着ています。ちょっと暑そうだけどね。
村には、手作りの商品が売られたお土産屋さんがたくさんありました。
この村では、民族の伝統的な生活や文化についての説明はほとんどなく、ほぼお土産屋さん巡りだけになってしまいました。もっとこちらからいろいろと聞けばよかったな。
ヤオ族の赤ちゃん。元気な子に育ってね!
カレン族
カレン族は、タイに約47万人住んでおり、タイの少数民族の49%を占めています。ビルマからの避難民であり、今でもミャンマーにはカレン族が沢山います。
中でも、パラオン、別名首長カレン族は、おそらく日本でも有名かと思います。
カレン族の女性は、このような真鍮の首飾りをつけています。この写真のものは約4.5kgもの重さがあります…びっくり!この首飾りをつけることで鎖骨が徐々に下がり、首が長く見えるそうです。
カレン族の村の様子。完全に観光地化しており、一つ一つの建物が住居兼お土産屋さんになっています。
お土産の人形を作っているようです。この方は首と足首に飾りをつけています。
こちらのお姉さんは、機織りをしているようです。そして、とっても美人さん。
村にはNGOによって運営されている(??)学校がありました。ボランティアの先生がタイ語を教えているようです。
山岳少数民族と観光業
少数民族の村訪問はしっかりとツアーパッケージ化されていました。チェンライ県にはたくさんのツアー会社があり、山岳少数民族は観光業の重要な役割を担っているのです。
ありのままの伝統的な暮らしが知りたいと思って村を訪れましたが、村は完全に観光地化されていました。
感じ方は人それぞれだと思うのですが、ガイドさんに通訳してもらいながら村の人とお話ししてみるなかで、観光のために伝統的な姿を見せないといけない義務感というか、窮屈さというか、どうしてもそういった雰囲気を感じざるを得ませんでした…。
特に、最後に紹介した首長カレン族の村は、とても人気な観光地となっています。
個人的に強く印象に残ったのは、カレン族の子供に全く元気がないように感じられたことでした。いくら家から学校までの距離が近くても、こどもたち本人は学校に通っていないと言っていました。学校が教育のすべてではないと思いますが、これだけ国の政策や観光産業の影響を受けやすい環境下で、サバイブする力を身につける学習の機会は、どこにあるのか、そんな疑問を抱きました。
そして、子供たちはお母さんと一緒に観光客を出迎える必要があり、好きなように遊びまわる様子などは見られませんでした。子供たちは自分たちの生活に自由がないことを悟っているのか、どこか冷めているというか、落ち着いてるように見えました。
少数民族の魅力が観光という形で外に発信されることは、伝統文化の尊重や保全にもつながると思います。でも、それが内発的な動きではなく、外圧的なものであると、どういうことが起こるか?
ぜひ、多くの人に実際に村に足を運んでもらって、考えてもらいたいなぁと思いました。
どんな民族であっても、子供たちには健やかで、笑顔でいてほしいな。
山岳少数民族についてもっと知るために…
ツアーに参加するだけでなく、少数民族についてより詳しく知りたい人には、ぜひこちらの博物館にも行ってほしいです。
PDA Chiang RaiというローカルNGOが運営しています。
伝統的な生活用具や衣装、そして歴史等を学べる展示が充実しています。日本語のビデオも観れますよ。
「平野はあなたたちのものだ。 しかし、山は私たちのものだ。」
山岳少数民族の有名な言葉だそうです。
少数民族の暮らしと観光業が適切なバランスの下に成り立ち、特に今の子供たちが、山の豊かな自然と共に、自分自身の意思で人生を歩んでいってほしいなぁと願うのでした。