大人の社会科見学① ~私たちが出した生活排水はどこへ行く?~
突然ですが! このブログを読まれているみなさんは、自分が出した生活排水がどこに行くか、どう処理されているか、考えたことがありますか?
今週、環境教育ビデオ教材作りのために、クリエイターの方々と配属先スタッフとで、排水処理場の見学に行ってきました。名付けて、大人の社会科見学!笑
というわけで、カンボジアならでは(?)の様子をお伝えしようと思うのですが、自分の国や地域がどんな排水処理システムを持っているのかな~とぜひ考えてみてください。
プノンペン市排水処理場の様子は…?
プノンペンの中心部から車で20分ほどにある、BOENG TRABEK PUMPING STATIONというところやって来ました。建物はかなり小さめ。
建物の中では、排水をくみあげるポンプが稼働しています。
建物の裏側にやってきました。強い硫黄臭が…する…。
流れてきた生活排水は、3つのフィルター(柵)を通ります。第一のフィルターがこちら。
第二のフィルター。
第三のフィルター。
見て分かる通り、ごみがフィルターにつまっており、このままだと上手く排水が流れずに溢れてしまいます。さて、これをどうしているのか…?
全て人力!どんな作業をしているのか…?
排水のフィルターのつまったごみを、このように作業員の方々が棒でかき集めています。
それでも取れない場合は、このように手で(しかも素手で!)直接ごみを掻き出していきます。
そして、集めたごみをかごに入れて…。
びゅーーーん!と運ばれ…。
ごみの山に積まれていきます!
ちなみに、見て分かる通りすぐ後ろには家があって人が住んでいます。
近隣の様子は…?
排水処理場のすぐそばにはこのように家が立ち並んでいます。でも、洪水時には排水があふれてこの家の半分の高さくらいまで埋まってしまうそうです。住民の衛生環境はなかなか厳しいといえそうです。
家の前で遊ぶこどもたち。
なんと、汚水はすべて自然浄化…?
施設に集められた排水はポンプで吸い上げられ、そのまま外に流れ出ます。
今は3つのポンプのみ稼働中。
そして、排水は広大な湿地に流れ出ます。
そう、生活排水を浄化する人工的設備はプノンペンにはなく、自然の力で浄化されていきます…!!!
浄化機能をもつ湿地が縮小!その理由は…?
プノンペンの排水処理をなんと湿地がすべて担っているとのことですが、その湿地が縮小しつつあるといいます。
なぜなら、このように埋め立てが進んでいるからです。
え?なんで大事な湿地を埋め立てちゃうの?というと、このように湿地の周辺にどんどん住む人が増えてきていて、自主的に埋め立てられているようです。住民の権利もあり、簡単に追い出すこともできないそうで、湿地は年々小さくなっているそうです。
まとめ
プノンペンは現在人口140万人の一大都市で、街は経済成長にともなって、日々目に見えて変化しています。しかし、そんな急成長中の都市の排水処理は人力・自然浄化にたよっており、今後街がさらに発展していくに当たって、インフラ整備と住民への意識啓発がとても重要になるであろうことは明らかです。
カンボジアの学校では社会科見学がないので、このような環境インフラを子供も大人も目にする機会がありません。今回の写真や映像をもとに、どんなビデオ教材やプログラムができていくか、乞うご期待!(と、勢いで言ってみる…。笑)